こんな経験はありませんか?
「自分の思いを押さえ込んでしまって、自分が何を考え感じているかが分からなくなっていませんか。」
「自分の望んでいる方向に事が進まず、自分自身を責めていませんか。」
自分の思いと違う形であっても、成功をおさめて人に誇れる人生を送りたいと考えるのは自然のことではないしょうか。
たしかに、自分の思いに目をつむり、目標へしゃにむに取り組むことで、自分の評価を高めていくことは可能です。しかし、その方法では、からだや心の発するメッセージに気付かず、病気によって命を失ってしまう危険性があります。
自分から思うまま感じるままに湧き上がってくる心の声を聴き、その声に従っていくことで、自分にとって充実した人生を送っていくことができるようになります。
そのことに気付くことができるのが、今回紹介する『私に帰る旅』(岡部明美著・角川学芸出版)になります。
本当の自分に気付く道のり
『私に帰る旅』の内容の一部を紹介します。あわせて、印象に残ったものについて引用していきます。
実は自分自身が自分のことを分かっていない。
「私たちは、人に、自分をわかってほしい、認めてほしい、愛してほしいと思っているのに、自分が自分のことをちっともわかってあげてなかったり、認めていなかったり、愛していなかったりしていませんか。人の一番の淋しさは、自分が自分のことを信じていないこと、愛していないことではないでしょうか。」
私たちは、他人には「自分のことをわかってほしい」と期待してしまいます。
ところが、実際は自分自身が「自分が何を感じて考えているか」について全くわかっていないものです。
自分を分かってあげていないことの反動が、体が引き裂かれてしまうような痛々しい感覚につながるのではないでしょうか。
自分の真実の声に寄り添う
「もっと自分にやさしくしてあげて。もっと自分を大切にして」という声が自分の中から聴えてきた。そうしたら涙がポロポロ流れてきた。自分を粗末に扱ってきた。自分をいっぱい批判してきた。自分の世話をしてこなかった。自分の痛みも悲しみも感じないように生きてきた頃の私は、人の痛みも悲しみも本当には感じなかったのだと思う。
自分の心の底から聴こえてきた声は、「本当の自分の姿を表現したい」というものでした。
幼少期に起きた出来事から「中身の無い自分を見透かされて、いらないと拒絶されることが怖い」という恐れを持つようになってしまいました。
そのことと向き合わないようにするために、「人より優れなければならない」とか「良くない自分は消さなければならない」ということに力を注いでしまい、自分の痛みや悲しみに気付くことができませんでした。
自分の真実の声に気付いたことで、これまでバラバラだった自分が一つに合わさって、自分の中からどんどんわき上がってくる思いを感じれるようになりました。
自分の奥深くにあるものに触れる
自分の深い感情に触れていくというのは、自分の脆さ、弱さ、痛み、ウィークポイントに触れていく作業でもあるから、かなりつらい作業だ。でも、その心の作業は、脆さや弱さの奥にある、やわらかなものや、繊細なもの、温かいもの、美しいものに触れていくプロセスでもあって、私は、それに触れるたびにだんだん自分が好きになっていった。
自分の奥深くにある感情に触れていくことで、自分の良いところも悪いところも受け入れることができようになり、自分をいとおしく感じられるようになりました。
今は「中身があろうとなかろうとそれが自分なのだから、表現したことで相手にどう思われても構わない」と感じることができるようになり、自分を表現することに自信が持てるようになりました。
まとめ
人に自分のことを理解してもらう以前に、自分自身が自分のことをわかっていないし、認めていないし、愛していないものです。
今まで向き合うことを避けていた恐れに隠れている自分の真実の声に耳をすますことで、自分が感じている痛みや悲しみを知ることができるようになります。
自分の奥底にある感情とふれ合い、良いところや悪いところを受け入れていくことで、自分を好きになっていくようになります。
『自分のことを分かってあげられるのは自分しかいない。』
このことに気付いてから、自分への接し方が180度変わるようになりました。
心の痛みを感じてつらい思いをしている自分に対して、それをそばでそっと見守っている自分を感じられるようになりました。
それに伴って、心が静かな水面のような落ち着いている感覚を味わうことが多くなってきました。
自分の内面に耳を傾ける良い機会となるのではないかと思いますので、手に取って一読されることをおすすめします。